天下りに対する大いなる誤解

その1

天下りについて、与党も野党も、そして国民もマスコミも完全に誤解しているので、改めてほしいと思います。私はすでに昨年国家公務員を強制的に解雇され、いわゆる「天下り」として、今の職場に再就職の斡旋を官民人材交流センターによりいただいています。

まず、天下りとは何かと言うと、ほとんどコンセンサスがありません。誰もが本当の定義を知りません。あいまいなのです。このことがこの問題の本質を隠し、実質的な問題点を大きくしています。

まず、天下りとは国の幹部公務員の「強制的な解雇」というのが一番正しいということです。

公務員は身分保障があるため、本来定年まで勤めることができますが、勧奨退職ということで、就職先のあっせんを前提に、事実上強制的な解雇が行われるというのが天下りの実態です。

上級職の公務員は当然このようなことは望んでいませんから、本来は、天下りはしたくないのですが、実質強制的な解雇ですのでやむを得ず従っています。

民主党政権になって、天下りは廃止となり、高齢の官僚たちは皆、大変喜んでいます。何も仕事をしなくても、少なくとも60歳までは強制解雇にならないことを。さらに、天下り禁止ですから、60歳以上になっても、年金支給年齢までは再雇用などで公務員としての仕事ができることになるのではないでしょうか。

結果的に公務員の高齢化が進むとともに、何も仕事をしない高給の高齢の窓際公務員がひたすら増えることになり、公務員組織の弱体化は否定できないでしょう。

相対的には、政治家と官僚組織の力関係は官僚組織の弱体化により、政治家が強くなるのは事実ですが、政治家組織が強くなっているわけではなく、政治家対官僚という、国民にとっては直接関係ないところで、内部の力関係だけが変わるだけのことです。

それよりも問題なのは、新卒採用の減少により若い官僚が減少するということです。公務員組織では、若い官僚ほど忙しく、40歳を過ぎると急に暇になるという勤務体制となっています。政策を立案したり政策を法律にする作業は、ほとんど30代までの若手官僚が担っており、驚異的な超過勤務のもとに家庭を犠牲にして行っているのが現実です。

この年齢層の減少は直ちに官僚組織の弱体化につながります。それは、官僚組織対政治家というよりも、政治家の補助機関としての行政組織の弱体化につながるため、長期的に見れば政治家にとっても決してプラスとなるものではなく、国民の共通財産としての公務員組織の弱体化になるものです。

公務員組織のパワーの減少は明らかに目に見えるものではなく、徐々に推移していくため政治的には議論の対象になりにくいことでしょうが、公務員の雇用者である国民にとっては、長期的には明らかにマイナスとなることを理解すべきです。